【ニプロ、ファーマパッケージング事業部からシングルユースバッグ「Ustem®」と、細胞科学研究所から培地受託製造をPR】

ニプロ

小間番号: R-13

ニプロ株式会社は、医療機器事業やCDMO事業を含む医薬事業、再生医療事業などを幅広く展開している。今回の再生医療JAPANでは、バイアルやシリンジといった医薬用ガラス容器などを製造するファーマパッケージング事業が、シングルユースバッグ「Ustem®(ユーステム)」を展示。また、細胞・再生医療やバイオ医薬品生産を支える培養液専門企業として、ニプログループの1つである株式会社細胞科学研究所も合同で出展する。

使い捨てによる安全性と洗浄・滅菌にかかるコスト削減を実現するシングルユースバッグUstem®

シングルユースバッグは、製薬企業においてワクチンや抗体等のバイオ医薬品の製造工程や細胞の培養等で用いられる樹脂製の容器である。
従来の医薬品製造で用いられるステンレス製の大きな容器は、容器の洗浄・滅菌やバリデーションの確認に時間とコストが掛かる。また設置するスペースも広く、容量の可変が難しいという課題もあった。
これに対して、シングルユースバッグは製造ラインごとに単回で使用する。使い捨てなので安全性が高く、洗浄・滅菌にかかる時間やコストも削減できる。少量化・オーダーメイド化が進む医薬品製造において需要はますます高まるだろう。ニプロのシングルユースバッグであるUstem®は、Useability Systemから名づけられており、創薬の工程において使い勝手のよい製品だという。

Ustem®のラインナップは次の通り

「プロセスバッグ」培地・中間体・原薬等の充填・輸送・貯蔵に用いる。工程内での細胞や薬のサンプリングバッグ、製造した細胞や薬などを一時保管する貯蔵用バッグ、廃液バッグなど幅広い用途がある。50ミリリットル容量の小さなものから、10~数十リットル品、それより大型の形状についても要望があれば相談に応じている。
「NBSバッグTM」細胞培養の振とう装置にセットして攪拌することで、細胞が効率よく培地成分に接し、増殖速度を向上できる。容量は20リットルまでに対応。
「パウダーバッグ」粉体(培地・試薬)の計量・搬送に用いる。効率よく粉が落ちる形状。30リットル形状からあり、大型形状品も要望に応じ対応している。
さらに、外気にさらさずバッグと装置を無菌的に接続できるオプション「無菌接続コネクタ」も展示予定。
シングルユースバッグは海外では広く普及しており、日本においても海外製品が主流だったが、新型コロナウイルス感染症のワクチン製造のために需要が急増。ニプロでは事業立ち上げからわずか1~2年で製品化を実現した。日本製かつ高品質のUstem®は高い評価を得ており、すでに多くの製薬会社で活用されている。

顧客の要望に合わせてロットや容器をカスタマイズ可能な液体培地・粉末培地の受託製造

ニプログループの1つである株式会社細胞科学研究所は、汎用品としての培養液の製造・販売と並行して、再生医療等製品の原料としての培養液の受託製造も行っている。さまざまな無血清培養液を取り扱っており、今回の再生医療JAPANでは、ヒト線維芽細胞用無血清培養液や無血清培養用の添加剤など、再生医療関連の製品を展示予定。CAR-T細胞療法用や幹細胞の培地など、各種臨床試験における使用実績もあるという。
液体培地は各ロット10~1000リットル、粉末培地は最低数量2kg以上から、顧客が指定する組成で製造可能。分注充填容量は10ミリリットルから最大20リットルまで、顧客の要望に応じて幅広く対応している。また、一般的に培養液はペットボトルでの販売が多いが、顧客が指定した容器や、ニプロのシングルユースバッグに充填することも可能とのこと。
培養液の一般的な検査項目としては、pH測定、浸透圧測定、無菌検査などを実施しており、顧客の要望に応じて検査項目を追加できる。再生医療等製品の承認申請や臨床の段階では、きちんと管理されたよりグレードの高い培地が求められるが、GMPに準拠したハードやソフトにも対応可能だ。必要に応じて顧客の監査も受けながら、高水準の製品を納入している。
細胞科学研究所の担当者は、「ニプロと力を合わせて、顧客のニーズに沿う最適な容器で提供できるのが我々の強み。小回りの利く体制で、お客様それぞれの製造工程にフィットするサービスを提供する」と述べる。
再生医療JAPAN 2023の意気込みとしては、「ラインナップの紹介はもちろん、日本製であることや、品質面へのこだわりをPRしたい」とのこと。現在はスタートアップ企業からの受託が大半を占めるが、大学やCDMO、海外メーカーからの依頼も増えているという。ワクチンや抗体などのバイオ医薬品をはじめ、小ロットでの医薬品製造を想定している医薬品メーカーはぜひ注目してほしい。

取材・文:GH株式会社 島田

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